正直、札幌龍谷学園高校の三連覇は固いと思っていたが、流石に3年続けての勝利は厳しく、いかに
困難であるかという結果となった。勝負の世界に絶対という言葉はないということと、結論を先に述べ
れば、残念ながら札幌龍谷学園高校よりも強いチームが現れたということに他ならない。
どんなスポーツでも初優勝、2連覇は本人たちが、チームが精進すればまだ手中に収める範囲と思え
るが三連覇は簡単に達成できないというジンクスがあるという。理由は2連覇まではその勢いとモチベ
ーションで行けるが、三年目となると色々な意味で周囲の取り巻く環境が変わってしまうことが多く、中
々難しいという説であるが、なるほどと思える節もある。
さて、それはそれで大会を振り返ってみるが、全ての試合を見た訳でなく、推測も交えてのものである
が書かせていただく。
優勝した高崎健康福祉大高崎は三組全てを見てはいないが、真面目にきっちりとプレーをしていた印象
を受けた。このことはプレーは当然のことながら、それ以外の礼儀作法や選手のソフトテニスに対する真
摯に姿勢に感じるものがあり、恐らく日々の練習等、努力は相当であったことは推測される。
なぜならばインターハイ程の大会になると一つの理由やフロックでは絶対に勝てない。私にはその根本
が何かは分らないが、必ずが理由ある筈であり、いつか真実を知るまで楽しみに待っていたい。
戦力的には、エース澤辺・掛端、ハイスクールジャパンカップに出場した二番手古宮・中尾、そして上代・
刀祢と確かに粒はそろっている。中でも澤辺、中尾は上尾高校の上原、工藤、河原と同様、埼玉県芝ジ
ュニアの出身で全国中学校ソフトテニス大会で2連覇を達成したメンバーでもあり、いつも私が言うキャ
リアは十分であり、ここぞという時の踏ん張りと勝負強さは文句なしである。
更に関東高校選手権を三連覇しているチームでもあり、このことは上尾高校、文化女子大杉並を三年間
破ってきたチームでもあるということである。当然、実力は折り紙つきであるが、恐らく試合途中で龍谷敗
れるの報を聞いて俄然、チームの士気も上がった思われる。
三回戦で井上・橋爪には三番手を当て、後は大将と二番で勝つというパターンをそれぞれ4−3の接戦で
勝ち上がり更に士気も高揚。準々決勝では相性の良い上尾高校にA−0、準決勝も広島女子商業にこれ
も3・1・2の布陣で臨み予想どおりA−1、決勝戦で奈良育英にこれも3・1・2でオーダーを組んだが勢い
で一気にA−0で圧勝した。
実際には感動シーンを見ていないが、ベンチと選手が一体となり勢いを増して優勝した様子が目に浮か
ぶ。改めて、おめでとうを言う。
準優勝の奈良育英は、実力もあるが今回はドローに恵まれたというべきであろう。屋地・薮内という絶対
的な大将がおり、前日の個人戦でも三位に入賞しているペアを軸に二番手、佐藤・池島が大活躍し殆ん
どの試合をA−0で勝ち上がった。同じ山の強敵である文化女子大杉並が準々決勝で高知南に負けた
のもラッキーだった。
広島女子商業は流石に手堅くまとめてきて、試合巧者ぶりを見せ3位に入った。準決勝での高崎健康福
祉大高崎にエース新谷・田中が先勝し一歩リードしたが二番手大野木・藤井が健大高崎の同じく強力な
二番手古宮・中尾に4−2でせり負けてしまつた。ここを勝っていれば優勝も手中に収めたと思われる。
同じく3位の高知南は大健闘した。一昨年開催の高知国民体育大会での強化が一年遅れたが今、実を
結んだと思われる。このチームには独特の粋の良さ勢いというか勢いがあり、大将である市川・浜崎を中
心によくまとったチーム。確かにクジ運にも恵まれたが文化女子大杉並を準々決勝で井上島崎の頑張り
でA−1で敗ったのは立派である。さぞかし嬉しい入賞であり、今後のチーム作りにも大きな自信を与え
たと思う。
上尾高校は、今秋、埼玉国民体育大会が開催されるとあって、ここまで相当の強化が図られてきたと思
われる。その証拠に三組全てが前年よりレベルアップしており、三番手の待井・大森が個人戦ベスト8に
入り、ご承知のとおり前日の個人戦で優勝、準優勝を独占。この勢いをかって勝ち進むと思われたが、三
回戦で札幌龍谷学園高校を敗ってそこで燃え尽きたのか。はたまた相性の悪い健大高崎が相手だった
のか、準々決勝でA−0で完敗した。しかし、得てして勝負とはそんなものである。
就実高校は、春の選抜で札幌龍谷学園高校を準決勝で負かしその勢いで優勝したが、続けて勝つことが
どれだけ難しいかという証でもある。杉本・大庭、小野・篠埜という二枚看板も今回は、どうも元気がなか
ったような気がする。一度、王者となった後のプレッシャーがどれだけ大変なことか、初めてではないが貴
重な経験だったように思える。しかし、まだ二年生…、来年の活躍を期待したい。
和歌山信愛女短大付は、吉井、中川、有田など名の通った選手がおり真面目なプレーは好感を持てるも
のの、ここぞという時のしたたかさに欠けた印象を受けた。やはり昨年までのメンバーと比較すると小粒
という感を免れないが、何だかんだ言っても最後はベスト8。この辺が伝統校のなせる業だろう。
文化女子大杉並も実績のある選手がずらっと揃っており、このメンバーでベスト8では物足りない、という
か、もっともっと上を狙える実力と力量があるのに勿体無さ過ぎる。詳しいことは分からないが、やはり指
導者が変わってしまったことが一番の要素と私には思えてならない。これからどんなチームを作っていくの
か、いらぬこととは言え、多少心配である。
最後に札幌龍谷学園高校。結果は三回戦負けとなったが、ドロー、展開も含め勝敗は時の運ということ
であろう。上尾高校戦もタッチの差で谷岡・渡辺が上原・工藤に負けたが、この大将対決で勝っていれば
第3ゲームでは龍谷が完勝したと思われるので、この戦いはA−1で札幌龍谷学園が勝利していた筈で
ある。
しかし、ここに来るまでの間、監督、コーチ、選手、父兄が北国のハンディを克服しようと、どんな思いで、ど
れだけ多くの練習を工夫し、変わらぬ精進を重ねてきたかを私は良く知っている。
父兄の立場から言わせてもらえばこの三年間、選手と共にディフェンディング・チャンピョンとして重く圧し掛
かる重圧、そして目に見えぬプレッシャーと戦ってきた。当たり前のことではあるが共に泣き・苦しみ・喜び
一体となって選手を支えてきた充実感は最高の財産と思っている。
いつも前を向き、ここまでチームを引っ張ってきた谷岡、高塚、伊藤、渡辺、谷本のレギュラーの外、多くの
三年生に心からご苦労様と言わせていただきたい。
団体戦では願いは叶わなかったが、幸いにして佐々木・高塚が並み居る強豪を連破しての快進撃。谷岡・
渡辺が一球一打を大切に大切にゲームを戦い、共にベスト8に輝いたのは、札幌龍谷学園高校のプライド、
嬉しい限りである。今後は、佐々木を中心に一年生主体で新チームを結成、今度は三連覇を達成して欲し
いと願っている。
大会会場でも、本当に多くの皆様方からご声援を頂いた。有り難いと感謝すると同時に引き続き札幌龍谷
学園へのご声援を節にお願いしたい。
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女子は、ハイスクールジャパンカップ2004同様、強豪チームが片方の山に固まってしまった、とい
うのが第一印象。
従って三回戦辺りで好カードが続出する。あくまで勝ち進んでの話ではあるが、札幌龍谷学園VS上
尾高校、健大高崎VS嬉野高校、広島女子商VS姫路商等々である。反対に信愛女短大付、奈良育
英、文大杉並辺りは楽な展開が予想される。
当然のことながら準々決勝では、この大会のやま場と思われる好カードが目白押しとなるだろう。
チームごとの分析では、上尾高校は上原・工藤という安定したエースがおり、ハイスクールジャパンカ
ップでもクジ運に恵まれたとはいえ、実力どおりに優勝した。二番手河原・田岡がどこまで踏ん張れる
かにかかってくるが、その力は未知数であるということと、三番手が実力的に一つ落ちるので、厳しい
戦いが予想される。加えて三回戦で札幌龍谷学園高校が相手となると非常に厳しいと言わざるを得な
い。
健大高崎にも同じことが言え、古宮・中尾、澤辺・刀祢と名の知られた二ペアがいるが、ここも三番手
が力量不足と思われる。春の選抜ではいきなり広島女子商業と二回戦で当ったので不運ではあった。
うまく波に乗ればそこそこは行くかも知れないが、優勝となれば話は別だろう。
佐賀代表、嬉野高校は、個人戦には滅法強く実績もある井上・橋爪がいるものの、ここは一強二弱。
団体戦では力を出すのは難しいのではないかと思われる。
広島女子商業、ハイスクールジャパンカップでは前衛、後衛のそれぞれのエース藤井、新谷がペアで
組み3位となり、選抜でも新谷・田中、森岡・中川、大野木・藤井の三ペアがそれぞれの持ち味を出し、
上手く絡んで準優勝となった。スター選手はいないものの、ここぞという時のたたみかける強さと、勝
負強さはさすがに伝統校でありインターハイ過去最高の優勝校、侮れない。
もう一つの山のシード校、選抜の覇者でもある就実高校。大将である小野・篠埜、杉本・大庭、福田・
真野といわずと知れたジュニアナショナルメンバーをづらりと揃え、選抜でも悲願の初優勝を飾ったが、
その後、杉本・大庭がスランプと聞いている。どこまで調子を上げてくるかにかかっているが、いずれ
にしても春・夏連覇は厳しいと見る。理由を何点か挙げることは出来るがここでは書かない。要するに
難しいだろう。
反対の山では、信愛女短大付と奈良育英、文化女子大杉並の三校だろう。
信愛女短大付は、中川・吉井、柴崎・佐藤、有田・渡と一応三ペアが揃ってはいるが、昨年度メンバ
ーと比較し小粒となったのは否めず、ハイスクールジャパンカップでは吉井が柴崎と組んで出場したが、
予選リーグで負けてしまったところを見ても上位を望むのは厳しいと思われる。
伝統校、奈良育英は選抜は県内予選で高田商業に敗れ出場できなかった。ここも昨年までの強力な
メンバーが卒業し、今夏は苦戦は免れないと見るのが妥当だろう。
ここ数年、常に関東の覇者である文化女子大杉並は、今回、くじ運に恵まれた。順当に行けばこちら
の山では実力的に勝っており、決勝戦へとコマを進めて来ると思われる。
ただ、ここも藪・阿部、新田・高橋の二強は実績、キャリアもあるが、後一つが弱く優勝は三番手の頑
張り一つと思われる。チームのまとまり次第では怖い存在ではある。
さて、三連覇がかかる札幌龍谷学園高校は、茨城での一昨年度メンバーが谷岡・渡辺、伊藤の3名。
長崎大会、昨年度メンバーも大将、谷岡・渡辺。佐々木・高塚、伊藤の5名がそのまま残っており、更
にゲームを組み立てる後衛が、谷岡、伊藤、佐々木と三本揃っているのが絶対的な強み。
ピンポイントで狙いよく獲物を外ず、シャープで球持ちの良い、「ショットガン谷岡」
破壊力抜群の大砲、重くて威力十分の球をビシビシ決める、「バズーカ伊藤」
切れ味鋭く、強烈なストロークとシュートを打ちまくる、「マシンガン佐々木」
実力的に差がないこの3名は共に強打が持ち味、文句なしで大会随一の後衛陣だろう。
加えて、ジュニアナショナルメンバー、気合と豊富な運動量が身上の渡辺。
卓越した技術、思い切りが良く常に安定しており、キャリアは文句なしの高塚。
チーム一の運動神経と軽快なフットワークが魅力の谷本。
後衛だけではなく前衛陣も粒が揃っている札幌龍谷学園高校が、やはり優勝候補一番手だろう。死
角があるとすれば、北海道勢が最大の難敵とする暑さ、そしてアクシデントか。
全日本小学生ソフトテニス選手権大会、全国中学校ソフトテニス大会、国民体育大会、そして全国高
校総合体育大会に至るまで、毎年、多くの全国大会を観戦してきたが、過去、優勝チームには幾つか
のキーワードがある。
一つはチーム内に実力的に勝るとも劣らない、3組(ペア)が揃っていたということ。
もう一つは、選手が全国大会という大きな舞台で例え様もない壮絶な戦い、死闘、修羅場を何度も経
験してきているということである。
そして、最後にチームワークである。
全国に足を運んだチームはツワモノ揃い。当然のことながらレベルも高く、必ず何かを持っていて簡単
には勝たせてくれない。
これはと思っていても、負けてしまうこともある。
絶対的な大将が負けることもある。
マッチポイントを取っていながら、後一つの壁に跳ね返され、どれだけ多くのチームが泣いただろうか。
要するに何が起こるか分からない魔物が住む世界、それが全国大会なのだ。だからこそ三本が揃わ
なければ、全国では通用しないと言う光景を何度見たことか。
大きな大会、際どい試合、準々決勝、準決勝、決勝と勝ち進みプレッシャーがかかる試合ほど、大舞台
を経験してきたというキャリアが最後はものを言うという。つまり舞台なれしているので、ビックゲームで
も平常心で戦うことが可能となる。
更に小学生時代から伝統的に受け継ぐ、個人戦よりも団体戦に燃え、団体戦こそ全てという道産子気
質と美学。北海道独自のチームカラーは、そのまま札幌龍谷学園にも当てはまる。何よりも今までの北
海道女子チームの団体戦での軌跡、谷岡、高塚、佐々木、渡辺、伊藤といった世代の過去の成績が雄
弁にそれを物語る。
その意味で絶対という言葉は勝負の世界に存在しないが、余程のことがなければ札幌龍谷学園の三
連覇は確率が高いだろう。
理由は二連覇という揺るぎない自信、キャリア、強力な三本が揃い、昨年度優勝メンバーもそっくり残っ
ているなど、優勝のために必要なカードを最も持っているチームであるからに他ならない。
(平成16年7月14日記)
※ソフトテニスマガジン同様、私の戦前予想も外れましたが、これはこれで意味合いもあり、
私の証として保存しておきます。 (平成16年8月23日)
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