静内のハクガン

1999/2000年度




※はじめに
   越冬6年目となる今シーズンは、全国的に寒波が襲いとにかく寒い冬となった。
 
静内町でも気温が下がった結果、この寒気の中、越冬したガン類は、今までにな
く群れの不規則な行動が目立ち、従来の越冬パターンとは大きく異なった。

   群れ全体の動向については、本群(本隊)が例年より約二週間早い12月13日に
 静内町内へと姿を現したものの12月28日には静内町より鵡川町へと越冬場所を移
 動し、1月16日に再び静内町へと姿を現すまでの20日間、静内不在となった。
   また、期間のズレはあるものの、シーズン当初より本群としてマガン52羽とシ
 ジュウカラガン1羽の53羽。2羽の小群としてオオヒシクイとマガン。更に2月6
 日以降はハクガンも加わり、併せて4種類のガンが越冬した。

   なお、静内越冬以降の行動については、ハクガン、シジュゥカラガンなど全ての個体が
  そのまま鵡川町へと移動し、暫くはここで採食をし、ねぐらをウトナイ湖に求めて寄留した。


※越冬数・期間
 ●越冬総数
   ○56羽  平成12年12月6日〜平成13年2月23日(80日間)
 ●大 群
   ○53羽
     @マガン52羽(本群53羽の内)〜平成12年12月13日〜平成12年12月28日(16日間)

                        平成13年1月15日〜平成13年2月22日(39日間)
                         計55日間

     Aシジュウカラガン幼鳥1羽(本群53羽の内)〜平成12年12月13日〜平成12年12月28日
                        (16日間)

                         平成13年1月15日〜平成13年2月22日(39日間)
                         計55日間

     ※平成13年1月4日、鵡川町でマガン53羽、シジュウカラガン1羽の計54羽の本群を
        確認しているが、静内では総数は53羽。

 ●小 群
   ○2羽
     @マガン幼鳥1羽(小群2羽の内)〜平成12年12月6日〜平成13年2月23日(80日間)

     Aオオヒシクイ1羽(小群2羽の内)〜平成12年12月6日〜平成13年2月23日(80日間)
       但し、越冬当初はオオヒシクイは成鳥1羽、幼鳥1羽の計2羽であったが、越冬途中
      より成鳥1羽の姿は確認出来ず
 
●ハクガン
   ○1羽(単独)〜平成13年2月6日〜平成13年2月22日(17日間)

  

※ねぐら
   越冬した4種類のガンのねぐらは、今シーズンも全てが静内川の中州を使用し
 たが、予想に反して本群53羽と小群2羽とは別々の場所であった。又、ハクガン
 は本群と行動を共にした。

 ●本群53羽(マガン52羽・シジュウカラガン幼鳥1羽)〜静内川中州(田原)
 ●ハクガン1羽(単独)〜静内川中州(本群と同様箇所)
 ●小群2羽(マガン幼鳥1羽・オオヒシクイ1羽)〜静内川中州(目名)


※採食行動

   越冬6年目となる今シーズンの特徴的は、採食場所が静内町のみならず鵡川町
 まで移動するなど一定しなかったことで、昨シーズンまで2年連続採食場所であ
 ったB牧場には時折、姿をみせるものの一日フルタイムでの採食活動は皆無で、
 田原地区以外にこれまで採食場所とはなっていなかつた豊畑地区、御園地区など
 にも行動範囲を広げるなど、昨シーズンまでの採食活動が大きく様変わりした。

   一定の場所に落ち着かなかったのは様々な理由が考えられるが、今シーズンは
 数十年ぶりという寒波の到来で気温が下がり主食である採草地や放牧地の牧草が
 発育せず、食料として例年並の役割を果たさなかったことが考えられる。
  具体的には、例年より早く、12月より寒さが厳しく牧草自体が凍結し枯れてし
 まい、いつもの緑色の牧草にはならなかった。

   更に今シーズンは晴天が続き降雪が少なかった為、牧草を雪が覆うので機能す
 る温室効果がなかつたため、芽を出すはずの発育が遅れ、栄養があり美味しい牧
 草の新芽を食することができなかつたことにより、例年並の採食物を求めた結果、
 A牧場をはじめとし各牧場を転々することになったものと思われる。

   また、例年、神森地区などでかなりの数のオオハクチョウが牧草地で採食する
 光景が見られるが、牧草の発育が悪化しているため今シーズンは、ほとんど確認
 されていない。

*群別特徴
●静内での越冬期間  1羽(単独)〜平成13年2月6日〜平成13年2月22日(17日間)
●ハクガン1羽
  ○身体サイズが昨年同様に大きいオオハクガンであることなどから昨シーズン
   越冬した個体と同じ個体と思われる。

  ○2月6日にC牧場で確認されて以来、時折、その姿を見せてくれたが、それ
   以前の行動については不明である。

  ○2月10日、午前中A牧場で確認。午後からは静内川河口域に移動しねぐらを
   とる。
  ○2月16日、田原地区でマガン本隊と一緒に採食しているのが確認された。こ
   の日以降、本隊と行動を共にする。
  ○2月17日午前、A牧場へ本隊と共に今シーズン初めて姿を現し採食
  ○2月22日を最後に群本隊と共に静内町での越冬を終了。町内での越冬期間は僅か
    17日間にとどまった。

  ○2月23日以降は、静内越冬組が鵡川町へ移動したが共に行動をとり、暫くの間は鵡
    川町で採食をしねぐらはウトナイ湖で寄留した。なお、確認されているのは次のとお
    りある。

  ○2月28日、鵡川町でマガン46羽、ハクガン1羽、シジュウカラガン1羽からなる
   計48羽の群れを鵡川町小山内さんが確認。

  ○3月5日、鵡川町でマガン49羽、ハクガン1羽、シジュウカラガン1羽からなる
   計51羽の群れを鵡川町汐見で確認。

  ○3月18日、厚真町共栄地区で5羽程度のマガン群れと一緒にいるハクガン1羽を星子
    さんが確認。
  ○3月20日、鵡川町田浦でマガン群れと同一行動をとっているハクガン1羽を確認。