北海道伊達市マガン越冬観察記録
  

 2006.12.3 伊達火力発電所煙突をバックに編隊を組むマガン (撮影:篠原盛雄)


 
夕陽の中、有珠山をバックに飛翔するマガン (撮影:篠原盛雄)


 
美しいと、思わず叫ばれずにはいられない (撮影:篠原盛雄)


   降雪の有珠山をバックに飛翔するマガン (撮影:篠原盛雄)


 
長和地区を飛翔するマガン


 JR室蘭本線の列車往来が激しい場所で歩きながら採食する


 
 平成7年(1995)より、北海道の南部である日高支庁に位置する静内町でマガンの越冬が始まり当然、
 これが北海道唯一と思われていたが、平成11年(1999)、今度は直線距離で120km離れ、同じ太平洋
 沿岸で海洋性気候により降雪が少なく温暖な胆振支庁・伊達市でも3羽のマガンが初めて越冬、以後、年
 々、個体数を増やしながら越冬している。
   
  一見、偶然のように思えるが共に温暖という似通った気象条件の二つの街で、採食とねぐらの確保が可
 能というマガンの二つの越冬条件を満たしていることを考えてみれば、ガン類が越冬したとしても、不思議
 なことではなく、むしろこのような事象が今後、北海道の他の地域でも有っても不思議ではない。

   ただ、興味深いのは道内の天気予報でも「胆振・日高地方」というように同一であるように、気象条件が
 ほぼ同じ地域での越冬というところであるが、採食物が共に水田、牧草地が豊富であるにも関わらず、伊
 達市では主に水田での落穂、稲わらであるのに対し、静内町では牧草地での牧草を主食としている点であ
 る。

  これらのことは、北海道でのマガン越冬の事象が更に新展開となったということであり、今後の伊達市で
 の越冬状況が注目されるところであるが、ねぐらとなる長流川が禁猟区とはなってはおらず、数種類のカ
 モも生息していることから毎日発砲される状態となっており、更には採食場となっている水田の面積も多く
 はないことから、越冬環境の整備と保護が急務となっている。また、伊達市と隣接する虻田町の噴火湾海
 岸では、コクガン数十羽が毎年、越冬数こそ差はあれ越冬している。

 

   なお、貴重な越冬データ、そして写真は
一部を除き伊達市で観察を続けている篠原盛雄さんの提供によ
 るものである。


  
●期間・個体数
 通算シーズン       越   冬   期    間   越 冬 数     備         考
    −  1998.3.22  (ヒシクイ7羽)  初認
      1  1999.12.24〜2000.3.25    マガン  3羽  平成11年〜平成12年
      2  2000.12.05〜2001.3.29  マガン  5羽  平成12年〜平成13年
      3  2001.12.05〜2002.3.21  マガン 21羽
 オオヒシクイ2羽
 平成13年〜平成14年
     4  2002.12.22〜2003.3.29  マガン 59羽  平成14年〜平成15年
     5  2003.11.16〜2004.3.28  マガン 76羽     平成15年〜平成16年
     6  2004.12.022005.4. 6  マガン105羽     平成16年〜平成17年
     7  2005.11.192006.3.27  マガン 29羽     平成17年〜平成18年
     8  2006.12.282007.3.11  マガン 89羽     平成18年〜平成19年
     9  2007.12.242008.3. 7  マガン136羽     平成19年〜平成20年


●採食地
  伊達市長和 水田

●採食物
  落穂、もみ藁、雑草

●ねぐら
  二級河川・長流川河口域(伊達市)

  ※データ提供〜北海道伊達市・篠原盛雄(日本野鳥の会室蘭支部・支部長)





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項            目 備        考
      越 冬 地 ロ ケ ー シ ョ ン
      5 シ ー ズ ン 目 越 冬 記 録  平成15年〜平成16年
      6 シ ー ズ ン 目 越 冬 記 録  平成16年〜平成17年
      7 シ ー ズ ン 目 越 冬 記 録  平成17年〜平成18年
      8 シ ー ズ ン 目 越 冬 記 録  平成18年〜平成19年
      9シ ー ズ ン 目 越 冬 記 録  平成19年〜平成20年