浦河町マガン等越冬記録  

 
 
今シーズン、静内町から50q東に位置する北海道日高支庁管内・浦河町でマガン2羽、カ
リガネ1羽の計3羽(全て幼鳥)が越冬した。越冬期間は、平成15年12月11日〜平成16年
3月21日の102日間と幼鳥特有の長期間にわたり、貴重な記録となった。
 特にカリガネは、越冬する個体数が国内でも数羽という希少種であり、貴重な越冬記録とな
ったが、幼鳥でありながら、天敵、気象条件等、幾多の試練を無事の乗り越えたことに安堵す
るものがある。幼鳥であることから再びこの地で越冬する確率は低いが、是非、来シーズンも
続けて越冬して欲しいものである。


 
手前が希少種のカリガネ



越冬概要
  浦河町でのガン類の越冬は平成11年11月15日から12月1日までの17日間、短期間ではあったがマガン幼
鳥2羽が姿を見せ、約80羽のカモ達一緒に生息した。その後、この2羽は様似町に移動し、平成12年3月13日ま
での103日間、越冬したことがあるが、約三カ月もの長期間にわたって越冬したのは今シーズンが初めてである。
  マガン2羽、カリガネの1羽は共に幼鳥で、常に行動を共にし、ねぐらを日高幌別川、採食地を浦河町幌別地区
とし越冬した。行動範囲は日高幌別川河口域周辺に限定され、すがに3月に入ると他のマガン同様、採食地を一
箇所に限定せず、行動範囲をやや遠くにまで広げたが、平成15年11月から平成16年2月まではおおよそ半径
500kmという狭いものであった。
 また、2月28日、渡り途中のヒシクイ15羽が幌別地区に移動して来て3月11日までの間、生息したが、この群れ
とは常に同一行動をとり、採食もねぐらも同じであった。しかし、ヒシクイが移動した3月11日、一緒に移動するかと
思われたが、そのまま居残り、結局は10日後の3月21日に移動した。
 越冬に必要な二大要素であるねぐらと餌の確保は、ねぐらについては日高幌別川が温暖な日高地方の河川であ
るため冬でも結氷せず、特に今シーズンは暖かい冬でその傾向が強かった。また、採食に関しては競走馬の生産
地である関係でどこに行っても牧草が豊富であり、越冬する条件には恵まれた場所である。



個体数
○マ ガ ン(幼鳥)〜2羽
○カリガネ(幼鳥)〜1羽
   計        3羽


越冬期間
○平成15年12月11日〜平成16年3月21日(102日間)


観察記録
○平成15年12月11日〜マガン2羽、カリガネ1羽を浦河町幌別地区で確認。
○平成16年 2月21日〜マガン2羽、カリガネ1羽を浦河町幌別地区で確認。
○        2月28日〜ヒシクイ15羽を浦河町幌別地区で確認。
○        3月 6日〜ヒシクイ14羽、マガン2羽、カリガネ1羽を確認。
○        3月11日〜ヒシクイ15羽が、マガン2羽、カリガネ1羽、コクガン2羽を確認。

○        3月20日〜浦河町富里でオオヒシクイの群れ約50羽のオオヒシクイを確認する。
○        3月21日〜マガン2羽、カリガネ1羽を浦河町で最終確認。



採 食
  浦河町は静内町と同様、国内を代表するサラブレッドの生産地で周辺は大半が牧草地であることから採食物
 は牧草である。しかも、殆んどが土壌の改良を加えた良質の牧草であることから質、量共に申し分なく、更に日
 高地方は海洋性気候の特徴で冬の積雪量が少ないため、採食環境としては大変恵まれた場所である。
 


PHOTO

 仲良く越冬したマガンとカリガネ。初めての土地でよく頑張ったと労をねぎらいたい


 左からカリガネ、マガン。これだけ緑色の牧草があれば採食には文句なしの環境


 水鳥が時折見せる独特のポーズ


 移動途中に寄留したヒシクイ


 中央後ろ向きがカリガネ


 北帰行の移動途中、日高幌別川に立ち寄ったコクガン 


   DATE
    ○越冬データは浦河町在・春田清美さんのご協力をいただきました。
    ○写真は浦河町在・河村牧雄(デジタルプリントのカワムラ)さんよりご提供をいただきました。