「マガン北海道越冬6シーズン目記録」

【越冬期間/平成12年(2000)12月06日〜平成13年(2001) 2月23日】 

 2000.12.17 AM11:28 群れは一斉に南西(太平洋)方向へと飛び立ち三日後に姿を現したが、再び姿を見せなくなった


 2001.1.28 PM12:05 本隊と離れ、2羽で越冬するマガン幼鳥とオオヒシクイ幼鳥。何とか無 事でこのまま越冬して欲しい


2001.1.28 PM12:07 北海道初越冬のオオヒシクイ幼鳥。マガンよりは警戒心が強いものの、 成鳥と比較し人間などに無警戒で
、無事に一冬越せるか心配される


 2001.1.28 PM12:10  元気に越冬するマガン幼鳥見た目も幼い 印象を受けるが、共に越冬を果たして欲しいと願う


 2001.2.10 PM16:10  昨シーズンと比較し羽根の
白さが一段と際立つ (静内川)





*はじめに
   越冬6年目となる今シーズンは、全国的に寒波が襲いとにかく寒い冬となった。
 道内でも支笏湖が1978年以来、23年ぶりに湖面が結氷。日高管内でも門別町、新
 冠町。静内町、浦河町などの漁港が結氷し漁船が出漁不可能になるなどの被害が
 発生した。

   静内町でも気温が下がった結果、例年では寒気が緩む2月10日以降もマイナス
 10度以上の気温を連続して記録するなど、厳しい寒さと向き合う年となった。

 の寒気の中、越冬したガン類は、今までになく群れの不規則な行動が目立ち、従
 来の越冬パターンとは大きく異なった。

   群れ全体の動向については、本群(本隊)が例年より約二週間早い12月13日に
 静内町内へと姿を現したものの12月28日には静内町より鵡川町へと越冬場所を移
 動し、1月16日に再び静内町へと姿を現すまでの20日間、静内不在となった。
  このようなシーズン途中での他町への移動はこれまでの5シーズン中、一度も
 なかったが、原因は今シーズンの寒気と密接な関係があると思われる。

   また、期間のズレはあるものの、シーズン当初より本群としてマガン52羽とシ
 ジュウカラガン1羽の53羽。2羽の小群としてオオヒシクイとマガン。更に2月6
 日以降はハクガンも加わり、併せて4種類のガンが越冬した。中でもオオヒシクイ
 は静内町では昨シーズンまで越冬例がなく、今シーズンが初めての越冬記録となり、
 収穫の少ない今シーズンでは唯一の朗報となった。

   しかし、例年より約一か月早い、2月23日を最後にあえなく静内町でのマガン
 越冬は終了。更には群行動が不規則となり、観測をする立場の者からするとフル
 タイムでの観察が一度も出来なかったなど、収穫が少なく、総評として内容、話題
 とも寂しいシーズンとなった。

   なお、静内越冬以降の行動については、ハクガン、シジュゥカラガンなど全ての個体が
  そのまま鵡川町へと移動し、暫くはここで採食をし、ねぐらをウトナイ湖に求めて寄留した。

*越冬数・期間
 ●越冬総数
   ○56羽  平成12年12月6日〜平成13年2月23日(80日間)
 ●大 群
   ○53羽
     @マガン52羽(本群53羽の内)〜平成12年12月13日〜平成12年12月28日(16日間)

                        平成13年1月15日〜平成13年2月22日(39日間)
                         計55日間

     Aシジュウカラガン1羽(本群53羽の内)〜平成12年12月13日〜平成12年12月28日
                        (16日間)

                         平成13年1月15日〜平成13年2月22日(39日間)
                         計55日間

     ※平成13年1月4日、鵡川町でマガン53羽、シジュウカラガン1羽の計54羽の本群を
        確認しているが、静内では総数は53羽。

 ●小 群
   ○2羽
     @マガン幼鳥1羽(小群2羽の内)〜平成12年12月6日〜平成13年2月23日(80日間)

     Aオオヒシクイ1羽(小群2羽の内)〜平成12年12月6日〜平成13年2月23日(80日間)
       但し、越冬当初はオオヒシクイは成鳥1羽、幼鳥1羽の計2羽であったが、越冬途中
      より成鳥1羽の姿は確認出来ず
 ●ハクガン
   ○1羽(単独)〜平成13年2月6日〜平成13年2月22日(17日間)

  
*ねぐら
   越冬した4種類のガンのねぐらは、今シーズンも全てが静内川の中州を使用し
 たが、予想に反して本群53羽と小群2羽とは別々の場所であった。又、ハクガン
 は本群と行動を共にした。

 ●本群53羽(マガン52羽・シジュウカラガン1羽)〜静内川中州(田原)
 ●ハクガン1羽(単独)〜静内川中州(本群と同様箇所)
 ●小群2羽(マガン幼鳥1羽・オオヒシクイ1羽)〜静内川中州(目名)

*採食行動

   越冬6年目となる今シーズンの特徴的は、採食場所が静内町のみならず鵡川町
 まで移動するなど一定しなかったことで、昨シーズンまで2年連続採食場所であ
 ったB牧場には時折、姿をみせるものの一日フルタイムでの採食活動は皆無で、
 田原地区以外にこれまで採食場所とはなっていなかつた豊畑地区、御園地区など
 にも行動範囲を広げるなど、昨シーズンまでの採食活動が大きく様変わりした。

   一定の場所に落ち着かなかったのは様々な理由が考えられるが、今シーズンは
 数十年ぶりという寒波の到来で気温が下がり主食である採草地や放牧地の牧草が
 発育せず、食料として例年並の役割を果たさなかったことが考えられる。
  具体的には、例年より早く、12月より寒さが厳しく牧草自体が凍結し枯れてし
 まい、いつもの緑色の牧草にはならなかった。

   更に今シーズンは晴天が続き降雪が少なかった為、牧草を雪が覆うので機能す
 る温室効果がなかつたため、芽を出すはずの発育が遅れ、栄養があり美味しい牧
 草の新芽を食することができなかつたことにより、例年並の採食物を求めた結果、
 A牧場をはじめとし各牧場を転々することになったものと思われる。

   また、例年、神森地区などでかなりの数のオオハクチョウが牧草地で採食する
 光景が見られるが、牧草の発育が悪化しているため今シーズンは、ほとんど確認
 されていない。

*群別特徴
 ●本群53羽(マガン52羽・シジュウカラガン1羽)
  ○シジュウカラガン1羽とマガン52羽からなる計53羽で構成。
  ○本群の行動が今シーズンは不規則で採食地が一定しておらず、A牧場、神森、
   田原、御園、豊畑地区の他、町外にも足を伸ばし鵡川町でも採食する。

  ○ここ数年の採食地であるB牧場を採食のベースとはしていない。
  ○ねぐらは田原地区の静内川中州。しかし、数度、静内川河口域と思われる飛
   行コースがあった。

 ●2羽小群(マガン・オオヒシクイ)
  ○渡りの当初である12月までは、3羽(マガン2羽・オオヒシクイ2羽)で行動
   していたが、1月下旬頃より、2羽の小群となり行動をするようになった。残
   り一羽についてはキツネなどの天敵と遭遇した事故の可能性が高い。

  ○ねぐらは田原地区の静内川で53羽の本群とは違う中洲。
  ○採食場所は、神森地区(E地点及びG地点)と目名川合流点付近の静内川中流
   域を往来し、共に草を採食しているが、神森では牧草というより雑草を食べ
   ている方多く、静内川中流域でも中州などに生えている雑草を食している。

  ○ここ数年の採食地であるB牧場を採食のベースとはしてはおらず、本群とは
   常に別行動をとる。

 ●シジュウカラガン1羽(幼鳥・成鳥不明)
  12月のシーズン当初より、常にマガン本隊と行動を共にしておりそのまま越
   冬した。幼鳥か成鳥かの見分けについは、白首輪を確認できないことから幼
   鳥と思われたが、その後、首輪など外見からA・J
を区別することは困難であ
    ることが判明、結局幼鳥・成鳥については昨シーズン同様不明である。

  ○昨シーズン4羽のシジュウカラガンが越冬したが、この個体となんらかの関係
   があると思われるが、詳細は分からない。

 ●ハクガン1羽
  ○身体サイズが昨年同様に大きいオオハクガンであることなどから昨シーズン
   越冬した個体と同じ個体と思われる。

  ○2月6日にC牧場で確認されて以来、時折、その姿を見せてくれたが、それ
   以前の行動については不明である。

  ○2月10日、午前中A牧場で確認。午後からは静内川河口域に移動しねぐらを
   とる。
  ○2月16日、田原地区でマガン本隊と一緒に採食しているのが確認された。こ
   の日以降、本隊と行動を共にする。
  ○2月17日午前、A牧場へ本隊と共に今シーズン初めて姿を現し採食
  ○2月22日を最後に群本隊と共に静内町での越冬を終了。町内での越冬期間は僅か
    17日間にとどまった。

  ○2月23日以降は、静内越冬組が鵡川町へ移動したが共に行動をとり、暫くの間は鵡
    川町で採食をしねぐらはウトナイ湖で寄留した。なお、確認されているのは次のとお
    りある。

  ○2月28日、鵡川町でマガン46羽、ハクガン1羽、シジュウカラガン1羽からなる
   計48羽の群れを鵡川町小山内さんが確認。

  ○3月5日、鵡川町でマガン49羽、ハクガン1羽、シジュウカラガン1羽からなる
   計51羽の群れを鵡川町汐見で確認。

  ○3月18日、厚真町共栄地区で5羽程度のマガン群れと一緒にいるハクガン1羽を星子
    さんが確認。
  ○3月20日、鵡川町田浦でマガン群れと同一行動をとっているハクガン1羽を確認。

*群れが静内町に定着しなった理由
  ○数十年ぶりの寒波の襲来により、静内町内での牧草の発育が悪く、結果、牧
   場の牧草地を転々と移動した。

  ○今シーズン、鵡川町は極めて降雪が少なく採食条件は良好であったため、採
   食条件の悪い静内町より環境の優れていた鵡川町を選択した。(3月になる
   といつも米食となったので、移動しても不思議ではない)

  ○今シーズンは降雪量が少ないため牧草の新芽が出てくるのが遅く、例年のよ
   うに豊富な採食活動が出来なくなり、結局、草の新芽がほとんど出揃わない
   内に鵡川町へと移動、例年より早くに草食より米食へと移行した。


*2月・日高の天候
   隣町の浦河町にある浦河町測候所(観測地・浦河町)の今シーズン冬季気象
 データによると、2月は一日の最高気温が氷点下以下となった日が平年の11.1
 日の2倍となる20日間あった。

   日高各地の港内が凍りつくなど、例年になく冷え込みが厳しかったが、最低
 気温や月平均気温など、データ的には過去の記録を塗り替えるような気温とは
 ならなかった。

   二月に一日の最低気温が氷点下10度以下にまで下がった日は3日の−11.1度
 を最低に7日間あった。2日から17日まで連続して一日の最高気温が氷点下と
 なり、平年はプラス0.6度の日最高気温の平均は−1.4度。2日に襟裳岬に近い
 広尾町沖で流氷が初確認されるなど上旬は冷え込む日が続き、3日は最高気温
 が氷点下6.2度にまでしか上昇せず、この日の平均気温は−9.5度だった。

  月平均気温は−4.7度で、平年の−2.7度から比べると低かったが、過去最低
 を記録した昭和53年の−6.1度をはじめ5番以内には入っていない。

*主な群の行動調
 ○12月1日〜54羽の群が午前9時頃、美々川方向より低く飛んできてウトナイ
       湖に着水するのを諸橋さんが確認。

 ○12月6日〜鵡川町汐見で群本隊を渡部さんが確認。
 ○12月6日〜A牧場上空で3羽(オオヒシクイ2羽、マガン1羽)の群を初確認
 ○12月10日〜ウトナイ湖で葉山レンジャーが群本隊を確認。
 ○12月13日〜A牧場の上空でマガン群れ約50羽を初認するもその後は未確認。
 ○12月17日〜B牧場で53羽(マガン・シジュウカラガン)の群を初確認。
 ○12月21日〜静内町神森(Q地点)で群本隊を確認。
 ○12月28日〜この日以降、平成13年1月15日まで静内町内ではマガン本群の群
       れ未確認。

 ○1月1日〜鵡川町宮戸で群を佐藤さんが確認。
 ○1月 4日〜鵡川町汐見でシジュウカラガンを含むマガンの群本隊54羽を確認
 ○1月12日〜MLで群が鵡川町にいる旨、情報有り。
 ○1月15日〜静内町で本群を19日ぶりに確認。
 ○2月6日〜今シーズン、初めて静内町でハクガンを確認
 ○2月19日〜本隊が2グループ以上(11羽、33羽、後不明)に分散し、別々の行
       動をとるようになり、53羽としての群れ行動はストップ。シジュウ
       カラガン、ハクガンは33羽の群れと行動を共にする。この行動は例
       年であれば3月に入ってからの行動と同じである。

 ○2月22日〜この日、午前10時45分まで本隊及びハクガンの越冬を確認。この時
       間(日)以降、群本体は鵡川町へと移動し、静内町内では未確認。

 ○2月23日〜この日、午後まで2羽小群の越冬を確認。この時間以降、静内町内
       でのガン類は未確認。

 ○2月24日〜午前8時30分、ウトナイ湖で、ねぐらで休息するマガン36羽、ハク
       ガン1羽、計37羽の群れをウトナイ湖サンクチュアリで確認。確認は
       されていないがシジュウカラガンも含まれていると思われる。

          また、午後2時〜4時までの間、鵡川町でマガン53羽、ハクガン1羽、
       シジュウカラガン1羽からなる計55羽の群れを井川さんが確認。

 ○2月28日〜鵡川町でマガン46羽、ハクガン1羽、シジュウカラガン1羽からなる
       計48羽の群れを鵡川町小山内さんが確認。

 ○3月5日〜鵡川町でマガン49羽、ハクガン1羽、シジュウカラガン1羽からなる
       計51羽の群れを鵡川町汐見で確認。


        平成12年12月06日〜平成13年2月23日間の観察記録はありますが、 サイト上での掲載はしておりません。