【越冬期間/平成19年(2007) 1月16日〜平成19年 2月22日】
2.18 午後5時44分、ねぐら入りのため新ひだか町静内、目名橋上空を通過するマガン
2.17 午後5時16分、鵡川町田浦地区から見事な編隊を組み、ねぐらのウトナイ湖へと向かうマガン800羽
2.17 鵡川町田浦地区で発見したマガン標識鳥(中央緑色)。H26と見えたが見間違いなのだろうか
2.12 2月に入り、例年のことながら空中へと飛翔する時間が多い
2.4 突然、南方向からマガン38羽が飛来
2.4 秒速8mの強風で着陸にも一苦労
2.3 突然、オオハクチョウが舞い降りて採食を開始
2.3 サラブレッドとはいつも仲良しで共存
2.2 降雪の中に身を埋め採食するマガン
1.28 昨日、降雪がありようやく雪景色
1.21 ウトナイにまだ330羽がいるので今後、静内の群れが増えるt確率が高い (結果は予想以上に増えなかった)
今シーズンの特徴は、平成7年12月、静内地区で越冬以来、越冬開始日が1月16日と最も遅くなり、越冬期間が38日
と最短であり、国内で確認できるのが10羽程度である危急種(絶滅の危険が増大している種)シジュウカラガン2羽が
静内地区で5度目の越冬をした。さらに静内では越冬シーズン半ばの2月上旬、ウトナイ湖で越冬していたマガン群れが新ひだか町静内地区に移動し
越冬、そのウトナイ湖は昨シーズンまで寄留地(一時的な通過地)であったが今シーズン初めてマガン越冬が確認され、
その数も数百羽となるが、シジュウカラガンを除く事象については、例年続く異常気象に起因するものであり、マガン
たちは相変わらずに気象の変化に敏感に反応すると同時に、例年、激変する気象に翻ろうされ続けている。近年、全国的に続いている天候の異変は静内地区においても同様で、昨シーズンは本格的な寒波が何度も襲来、温暖
な静内では異例の12月から大量の降雪でマガンが地上の植物を採食することが不可能となり、静内に渡来し約二週間で
群れ大半の8割が越冬地からいなくなるという異常事態となったが、一転、今シーズンは11月から1月中旬までは全国
的に暖冬で気温も上昇、降雪もなく秋季最後のマガン寄留地となるウトナイ湖から静内への移動が遅れ、一時は11シー
ズン連続した越冬が途切れるのかと危惧された。しかし、1月中旬、例年並みの気温と同時に苫小牧市ウトナイ湖周辺の採食条件が悪化、過去、最も遅い1月16日に
なり、ようやく静内へ移動し越冬が開始された。例年、静内での越冬は、渡りでシベリア〜宮島沼(美唄市)〜ウトナ
イ湖のルートでやって来た群れの内、最後まで居残った数百羽の群れがそのまま静内へと移動し越冬するというパター
ンがしばらく続き、ここ数年、12月下旬、ウトナイ湖を移動する際、静内に移動する群れと、本州へ移動する群れの二
通りとなるパターンに変化している。今シーズンもウトナイ湖周辺で1月3日にシジュウカラガン2羽を含む500羽以上、1月23日には330羽以上が確認され
ていたが、1月27日に大半が本州、道内などへと移動し1月28日の調査では、今シーズン越冬した場所では一羽も確認
されなかった。しかし、静内地区では30日、5羽が増え67羽であった個体数が83羽となり、2月4日には144羽と個体数が一気に増え、
この中にはウトナイ湖で確認したシジュウカラガン2羽も含まれていた。さらに2月11日には106羽、243羽、153羽と一
日で個体数が三度も変化するなど個体数が変化した。結局、シジュウカラガン2羽は2月17日まで確認、群れ全体を最後に確認できたのは2月21日で83羽、更に翌日、2
月22日の数はカウントできていないが群れがねぐら入りするのを最後に確認している。越冬期間は、過去12シーズン
中、最短の38日という越冬日数となったが、これは暖冬によりウトナイ湖から静内への移動時期が遅れたことによる
ものである。一方、ウトナイ湖では平成19年1月3日、500羽以上。1月20日、330羽以上。そして1月27日まで群れが苫小牧市美沢
での採食が確認しており、2月3日には日本野鳥の会調査でマガン109羽が確認されており、今シーズン、ウトナイ湖で
初めてのマガンの越冬が確認された。たまたま、1月中旬になっても新ひだか町静内にマガンが姿を現さないので、ウトナイ湖へと数回観察に出かけたが、
このときマガン数百羽を確認し、結局、それが歴史的なウトナイ湖での初マガン越冬を裏付けることとなったのは幸運
でもあり、観察する者にとっては冥利に尽きる。今シーズン、もう一つの特徴は、シジュウカラガンの越冬で苫小牧市美沢で平成19年1月3日、シジュウカラガン2
羽。1月20日にも同じく美沢でシジュウカラガン2羽を確認したが、2月4日〜2月17日の間、この2羽が静内へ移動し
越冬した。このことは、道内での越冬途中での越冬地の移動を示すもので、今シーズンが初めてのことではないが、前
述の北海道での越冬地の増加と同様に興味深い。また、なぜ本州へと移動せずに新ひだか町静内で越冬したかについては、幾つかの事由が考えられるが、最も確率の
高いものとして、シジュウカラガン標識鳥(069)及びヒメシジュウカラガンを除き過去、越冬5シーズン目、平成11
年12月〜平成12年3月(93日間、4羽)。6シーズン目、平成12年12月〜平成13年2月(80日間、シジュウカラ
ガン1羽)と二度の越冬記録があり、この時に越冬した個体或いはその子孫が土地への執着心が強いガンの特性
そのままに静内へとしている。また、新ひだか町静内での越冬数が100羽より減った要因については、昨シーズン、静内地区が記録的な降雪により
大量の積雪となり、採食環境が極めて悪化したことでないかと考えられる。なお、2月3日には、本州からの移動して来た群れと思われるマガン約109羽が鵡川町で確認されており、この時期に
ついては例年通りではあるが、暖冬となった今シーズンは、総じて本州から北海道へ、ウトナイ湖から空知地方など、
道内への移動時期は10日から二週間も早かった。
○83羽 (マガン81羽、シジュウカラガン2羽)
(MAX〜243羽)
○マガン(全体) 平成19年1月16日〜平成19年2月22日(38日間)
○シジュウカラガン 平成19年2月 4日〜平成19年2月17日(14日間)
○今シーズンも全てが静内川の中州を使用。
○今シーズン、1月下旬にT地区で一度だけ採食を確認した以外は、全てY地区で採食。
(越冬期間・個体数)
○1シーズン目/平成7年12月22日〜平成8年3月24日(93日間)
42羽(マガン41羽、ヒシクイ1羽)
○2シーズン目/平成8年12月29日〜平成9年2月23日(57日間)
28羽(マガン28羽)
○3シーズン目/平成10年1月6日〜平成10年2月22日(48日間)
34羽(マガン33羽、シジュウカラガン1羽)
○4シーズン目/平成10年12月28日〜平成11年2月25日(60日間)
48羽(マガン47羽、ヒシクイ1羽)
○5シーズン目/平成11年12月21日〜平成12年3月22日(93日間)
68羽(マガン63羽、シジュウカラガン4羽、ハクガン1羽)
○6シーズン目/平成12年12月13日〜平成13年2月22日(55日間)
54羽(マガン52羽、ヒシクイ1羽、ハクガン1羽)
○7シーズン目/平成13年11月29日〜平成14年2月22日(87日間)
126羽(マガン125羽、ヒメシジュウカラガン1羽)
○8シーズン目/平成14年12月17日〜平成15年2月24日(70日間)
113羽(マガン113羽)
○9シーズン目/平成16年1月14日〜平成16年2月28日(46日間)
105羽(マガン104羽、ヒシクイ1羽)
○10シーズン目/平成16年12月28日〜平成17年3月18日(81日間)
148羽(マガン148羽)
○11シーズン目/平成17年12月8日〜平成18年2月18日(38日間)
15羽(マガン15羽) (MAX確認数172羽)
○12シーズン目/平成16年12月28日〜平成17年3月18日(81日間)
83羽(マガン81羽、シジュウカラガン2羽) (MAX確認数243羽)
※12シーズントータル平均値/越冬総数〜72.0羽、越冬期間〜80.83日