大変珍しいマガンの白色化個体3羽を4月18〜19日、豊頃町幌岡地区で確認した。
3羽は常にマガン群れと同一行動をとり、採食活動中は他のマガンと違和感なく行動して
いたが、二日間の観察では、羽が白っぽいだけで後は、特徴的なものはなかった。また、
群れのマガンと比較すると人への警戒心は薄いように見えた。
この3羽は、一見、ハクガン幼鳥と見間違える印象を受けるが、良く見るとハクガンにし
ては羽根の白さが足りないことに気づいた。このため、写真を「日本雁を保護する会」呉地
正行会長に送り、白色化個体と鑑定(識別)された。
呉地会長によると、
「昨秋、宮城県蕪栗沼で観察された個体は、部分的に白化(色素がない)したもので、今回の
個体(色素はあるが足りない)とは異なる」とのこと。
なお、今回に似た個体は、1986/87(昭和61年/62年)、2羽(幼鳥1羽・成鳥1羽)
が宮城県伊豆沼で越冬し、北海道宮島沼などでも確認されている。
●確認日〜平成21年4月18日〜4月19日
●確認地〜豊頃町幌岡地区
●個体数〜3羽 (成鳥・幼鳥区分不明)
●特 徴〜@行動〜マガン群れ約200羽と同一行動で、終日採食活動を共にする。
A個体〜体格的には1羽は大きいが、残りの2羽は前記1羽と比較すると小さい。
B羽色〜大きな1羽は、残りの2羽よりは白っぽい。
●区 分〜@部分的に白いのは「部分白化個体」(不完全白化個体)。
今回(全体が白っぽい)のは、「白色化個体」
A白化(albino)、白色化(leucistic)の違いは色素が全くないか、皮膚や羽毛のメラニ
ン色素が不足しているの違い。
●白 化〜○アルビノ(albino)と呼ばれ、白いヘビ、白いクジャク、白いペンギン、白いザリガニ、白
いメダカ、白いウマ、白いネコなどが一般によく知られる。
○皮膚や羽毛などに色素が全く生じない異常現象。多くは病理的原因ではなく、遺伝的
なものに起因する。
○メラニンが先天的に欠乏する遺伝子疾患、その症状を伴う個体と呼ぶ。前者を先天性
白皮症・先天性色素欠乏症・白子症。後者を白化個体・白子(しろこ)などと呼称する。
また、アルビノの個体が生じることを白化ともいう。
●白色化〜○皮膚、羽毛等の色素が欠乏しているもので、病理的原因によるものが多い。
○動物で減らされた染色により特徴づけられ、白化現象とは異なり、様々な皮膚顔料
(メラニン等)の縮小に起因する。
○白子(白化)は全く色素がないが、白色化はあるが不足しているの違い。
(※引用文献〜日本雁を保護する会、雁のたより他)