夕暮れ、ねぐらへと飛び立つハクガンとオオヒシクイ
十勝にハクガンが25羽。という情報が入り11月4日、浦幌町へと出かけた。
かって、19世紀末まで、東京湾で雪が積もったようにハクガンの群れを見かけ
たと言うが、近世、昨シーズンまでの国内へのハクガン渡来数は、日本雁を保
護する会の観察データによると1971年(昭和46年)以降、2003/2004年(平成
15年/平成16年)及び2006/2007年(平成18年/平成19年)の12羽が最高で、
これを一気に13羽プラスの25羽(幼鳥16羽)が確認されたことは、同会が長
年にわたり取り組んできた復元計画が実を結んだものと予測される。
今回、十勝へと出かけた目的はただ一つ。日本雁を保護する会、ハクガン復元
計画に役立つ記録を残すこと。
具体的には、1993(平成5年)以降、日本雁を保護する会が、ロシア・アメリカ・
カナダの研究者と共同で、ウランゲル島のハクガンを移植するなど、アジアで
激減してしまったハクガンを復元するプロジェクトに取り組んでいるいるが、そ
の参考となるべく記録写真。もう一つは、例年、ハクガン復元計画担当・佐場野
氏(日本雁を保護する会)をはじめとする関係者が個体のフライウェイを分析す
る際に識別出来る写真を撮るためであった。
結果、オオヒシクイは、時期的に大半が東北、北陸などへ移動した後であり個体
数も少なかったが、幸運にもハクガンはまだ寄留中であった。しかし、時間も限
られまた、群れに近づくことは容易なことではなく、当然、撮影距離との関係もあ
り、最大の目的とした個体識別には程遠いが、全25羽を含めたものと幾つかの
小群、シジュウカラガン一羽を写真に収めることが出来たのは運が良かった。
今シーズン、いつまで十勝平野に寄留し、これらの個体が幾つに別れ、どこで越
冬するのかなど興味が尽きないが、今回の事象が今年で終わることなく今後も
継続しこの写真が、今後、ハクガンの研究並びに復元計画に役立つのであれば、
往復330km、5時間をかけ車を走らせた甲斐がありまた、そうなるよう願っている。
なお、ハクガンの撮影には、ガンたちにストレスを与えないよう高倍率のスコープ
にカメラをセット、遠距離からの撮影に努めた。
(提供:浦幌野鳥倶楽部)
○10月14日〜12羽(成鳥6羽・幼鳥6羽)
○10月15日〜13羽(成鳥7羽・幼鳥6羽)
○10月27日〜25羽(成鳥9羽・幼鳥16羽)
○11月 4日〜25羽(成鳥9羽・幼鳥16羽)
逆行の中、陽光に映えるハクガン
午後からしばらく待ったが、その多くが背眠中
なかなかシャッターチャンスがなく長時間待機するが一瞬、成鳥が重い腰をあげた
草原の草が長く全羽を確認することは容易ではなかった