2002(平成14年)・秋


十勝の空に群れ舞うオオヒシクイ
    


 辺りも暗くなり夕暮れ間近、ねぐらへのフライト直前のオオヒシクイ群れ


 十勝とガンの定番、サイロとオオヒシクイ


 秋の空にオオヒシクイが群れ遊ぶ。いつまでも続いて欲しい光景だ


 
高い秋空によく似合う牧草ロールとオオヒシクイ。これも秋の十勝の定番


 マガンが女性的ならオオヒシクイは男性的。自分はオオヒシクイの豪快さがたまらなく好きだ


 
陽が落ち、採食場は幻想的な光景となる





●10月5日(土) 晴れ 10:25〜17:10

 シーズン初めではあるが、十勝地方へオオヒシクイ観察に出掛けた。天候も良く風も微風で絶好の観察日
よりであったが、まだ、時期的に秋の貴重な餌場であるトウキビ畑では一部で収穫が始まっているものの多
くは、まだ刈り入れしておらず餌場としての用を足さない状況下でもあった。

この日現在の採食地は牧草地の牧草に限定されている性もあるのか、ガン類の数は少なく、個体もその
殆どがオオヒシクイであったが、最盛期と比較すると個体数も少なく、シーズン始めであり、この地に来たば
かりなため、非常に警戒心が強く、少し近づくと直ぐ大空へと飛び立ってしまうため、観察には苦労が伴った。

また、標識鳥は約3000羽のオオヒシクイがいるのにもかかわらず、中々発見することが出来ず、僅かに6
羽を数えるだけであった。ハクガンも2羽の成鳥を確認したが、これも毎年5〜7羽程度は確認できているの
で今後、更に個体数が増えるものと思われる。時間があれば今秋中にもう一度は出掛けたい。

今回、ガンたちを確認できた場所はいずれも浦幌町に集中しており、いつもは多くのガンで賑わう豊頃町の
幌岡地区では、珍しいことに一羽のマガン、ヒシクイ、オオヒシクイも確認することは出来なかった。

※観察地〜浦幌町全域、豊頃町全域
※確認した標識鳥〜オオヒシクイ6羽〜K26 K43 K45 K52 K59 J56
※希少種〜ハクガン2羽。このハクガンは2羽とも成鳥。
※考 察〜岩井農場のおばあさんから聞いた話。
        ○ヒシクイは菱の実が好きで三日月沼に生えている菱の実をよく食べる。
        ○昔はスケートリンクを三日月沼に作ったが、ヒシクイたちが食べる年はリンクが出来上がったが、
         食べない年はヒシクイの草が邪魔になり出来なかった。
 
     10:30〜三日月沼 オオヒシクイ約300羽を確認。標識鳥はK52一羽のみ。カモが多い。
     11:40〜豊北地区、岩井芳治牧場牧草地にオオヒシクイ約2000羽の群れを発見。またそ
           の中に2羽のハクガンを確認する。
     12:10〜田所牧場横の牧草地に約150羽のオオヒシクイを確認。
     12:15〜森牧場川向で300羽程度のオオヒシクイを確認。
     13:25〜浦幌町の観察を切り上げ観察地点を豊頃町に移動する。
     14:10〜大沼に到着。ハンター二人が突然、沼から現れびっくり。周辺を見回すが先程のハンターの
           性か、それとも時期が早い性なのかは分からないがカイツブリを9羽確認できた以外は、一
           羽のガンも確認できず。沼でガンが一羽もいないなんてことは始めてのこと。
     14:30〜豊北地区、いつのも和田牧場牧草地でオオヒシクイ約300羽の群れ確認。
     14:40〜三日月沼でオオヒシクイ200羽とK43を確認。
     15:10〜豊北地区、岩井芳治牧場牧草地に今度はオオヒシクイ約3000羽の群れを発見。次々と他
           地域からオオヒシクイが飛来し採食に加わる。
     15:20〜大勢のオオヒシクイの中から標識鳥を一羽ずつ観察したが、気が付くとハクガン2羽も入つ
           ているのを確認。標識鳥はK45、K26、K59、J56の四羽。この内、K26、K59の2羽は赤・
           白のカラーリングであるが脱色しており、確認するのにかなりの時間を要した。でもたった4羽
           でがっくり。各方向からどんどんオオヒシクイが飛来し、一時間足らずで3割程の個体数が増
           える。
     16:00〜今度は数十羽単位で北(浦幌町市街地)方向へ次々と飛び出し始め、集団の個体数が減少
           を始める。また、ねぐら入りが近くなり、群れどうしが「ブブッ」と盛んに鳴き交わしを始めさなが
           ら辺りはマガンの飼育場?。
     16:30〜採食活動が一段と活発になる。また、オオヒシクイ特有のパフォーマンスもあちこちで活発に
           なる。この動きがオオヒシクイ最大の魅力である。陽が落ちるとこの季節、急激に寒くなる。
     17:10〜日没と寒さで本日の観察を終了。静内町への帰路につく。