世界には、オオハクチョウ、コハクチョウ、ナキハクチョウ、コブハクチョウ、コクチョウ、クロエリハクチョウ、
カモハクチョウの7種類が生息します。国内ではオオハクチョウとコハクチョウの2種です。
●オオハクチョウ (Whooper Swan) L141cm W225cm
<概要>
くちばしの付け根の黄色い部分が先の黒い部分より大きい。北海道で越冬するのはほとんんどがオオハクチ
ョウである。
長い首を伸ばして飛ぶ大型のハクチョウ。ユーラシア大陸の亜寒帯で広く繁殖し、日本へは冬鳥として渡来す
る。主に北日本や日本海側の地方で越冬し、北海道・尾岱沼、青森県・大湊湾、宮城県伊豆沼、新潟県瓢湖な
どがオオハクチョウの越冬地として名高い。
近年、他のガン類もそうであるが、年々、個体数が増加しており、観光を目的とした給餌も各地で行われてい
る。アイヌ語ではレタッチリ・カムイといいい「白い鳥の神」という。青森県、島根県では県の鳥に指定されている。
<生態>
越冬地では、湖や沼、大きな川、河口、内湾などで生活している。番(つがい)と前の繁殖期に孵化した1〜6
羽の幼鳥と親鳥からなる家族群が行動の単位で、それらの集団が数十羽から数百羽の群れを作って集団で生
息する。
内湾では、アマモ、湖ではアシ、ガマなどの水生植物の茎や根を主な餌とし、長い首を水中に突っ込んだり、更
には上半身を水中に入れて逆立ちをしながら採食をする。
給餌では、昔は茶がら、現在ではパンくず、トウモロコシ、麦類、などの穀物がまかれているが、これについて
は北海道厚岸湾などで自然採食に対する弊害などが確認されており、必ずしも採食活動が評価される時代では
なくなってきている。繁殖地では、水辺の地上や浅瀬に枯れ草などで大きな巣を作り、5〜6個の卵を産む。
<声>
「コォー、コォー」とやさしく鳴いてから、互いに首を上下させ、賑やかに「コホー、コホー」と鳴き交わす。オスとメ
ス、家族同士も「コーコーコー」と鳴き交わす。
<見分方法>
コハクチョウより身体が大きく、くちばしの黄色部分が大きいので直ぐ分かる。
●コハクチョウ (Bewick‘s Swan) L120cm W177cm
<概要>
くちばしの黄色い部分がやや小さくオオハクチョウに似たハクチョウ。青森県小川原湖、福島県猪苗代湖、滋
賀県琵琶湖、鳥取県中海などが主な渡来地であるが、主に本州の中部より南の地域に多く、オオハクチョウと
は住み分けができている。これは、コハクチョウの方が身体が小さく、体温の維持に相対的に多くのエネルギー
がいることによると考えられている。
ユーラシアと北米大陸の寒帯でオオハクチョウよりは北の地域で広く繁殖し、日本には冬鳥として渡来、オオ
ハクチョウと同様に冬鳥の代名詞。くちばしの殆どが黒いアメリカコハクチョウも稀には記録される。オオハクチ
ョウ同様にこのハクチョウも年々、越冬数が増加傾向にある。青森県では県の鳥として指定されている。
<生態>
越冬地での生態は、湖や沼、大きな川、河口、内湾などで生活し、オオハクチョウとよく似ている。家族群を単
位としたれで生活し、水草を主な餌としている。水面から飛び立つ時は、水面を蹴るように10数メートル助走し
空へと舞い上がる。
休息する時は、長い首を背面に折り曲げ、頭を背中の中に入れていることが多い。警戒すると首をいっぱい伸
ばし、辺りの様子をうかがうのは、マガンなどと同様である。
繁殖地では、湖の浅瀬や水辺の地上に、枯れ草や藻類で火山のような円錐形の大きな巣を作り、3〜5個の
卵を産む。抱卵日数は29〜30日程度である。
<声>
オオハクチョウより似ている声ではあるが、「コホツ、コホッ」と短めに鳴くことが多くオオハクチョウほど、うるさく
鳴かない。飛翔中は「コォー、コォー」という声を出す。
<見分方法>
コハクチョウより身体が小さく、くちばしの黄色部分がオオハクチョウより小さい。しかし、このくちばしの形状パ
ターンが色々あるので、個体の識別にも使うこともある。
●アメリカコハクチョウ (Whistling Swan) L132cm W185cm
<概要>
身体は、コハクチョウより少々大きいが見た目は殆ど変わらない。くちばしの黄色い部分がほとんどなく大部分
が黒いのが特徴で、コハクチョウの一亜種とする他のハクチョウ同様に群れで生息するが、日本では通常、数羽
程度しか確認されない希少種である。新ひだか町静内・静内川をベースに平成元年より平成11年までの11年間、
北海道日高支庁管内の浦河町、様似町などで越冬した。コハクチョウの亜種に属する。
<生態>
越冬地での生態は、湖や沼、大きな川、河口、内湾などで生活し、コハクチョウとよく似ている。家族群を単位
とした群れで生活し、水草を主な餌としている。水面から飛び立つ時は、水面を蹴るように10数メートル助走し空
へと舞い上がる。
休息する時は、長い首を背面に折り曲げ、頭を背中の中に入れていることが多い。警戒すると首をいっぱい伸ば
し、辺りの様子をうかがうのは、マガンなどと同様である。
繁殖地では、湖の浅瀬や水辺の地上に、枯れ草や藻類で火山のような円錐形の大きな巣を作り、3〜5個の卵
を産む。抱卵日数は29〜30日程度である。
<声>
オオハクチョウより似ている声ではあるが、「コホツ、コホッ」と短めに鳴くことが多くオオハクチョウほど、うるさく
鳴かない。飛翔中は「コォー、コォー」という声を出す。
<見分方法>
コハクチョウより身体が小さく、くちばしの黄色部分がオオハクチョウより小さい。しかし、このくちばしの形状パタ
ーンが色々あるので、個体の識別にも使うこともある。
●ナキハクチョウ (Trumpeter Swan) L150〜180p W230〜260p
(撮影地〜帯広市帯広川)
<概要>
ハクチョウを含めたカモ科の中では最大種でアメリカ北西部、カナダ西部に繁殖し、アメリカ太平洋岸、大西洋岸で
越冬するが、日本には稀に迷鳥として確認される程度で、2005年(平成22年)10月24日以降、11月まで北海道帯
広市の帯広川で羽根を休めた。これは国内では1934年、空知管内月形町で発見されて以来実に72年ぶりに確認さ
れ、国内でも4例目であり話題となった。
<生態>
鳴き声がラッパのように低いが鋭く響くので、英名でトランぺッタースワンの名がついている。1970年調査では世
界で僅かに4000羽となっている希少種でもある。
河川、湖沼、湿原、内湾などに生息。渡りは行うが長距離の渡りは行わない。食性は多のハクチョウと同様に植物食
で、水草の根、種子などを食する。
見るからに精悍な顔つきで気性は荒い印象を受けるが実際は分からない。
カナダ・オンタリオ州にはもともとナキハクチョウが生息していたが、狩猟、また幼鳥のショットガンの玉の誤飲による
鉛中毒などによって個体数は激減し、オンタリオ州から姿を消してしまった。1982年にトロント動物園がナキハクチョウ
の再生プロジェクトを始め、現在では250羽以上のナキハクチョウが南オンタリオに生息している。そのためトロント近
郊でみられるほとんどのナキハクチョウには個体識別用のタグがついている。
<声>
「ブォーッ、ブォーッ」
<見分方法>
見た目は、アメリカコハクチョウと似ているが、体の大きさが違いナキハクチョウの方が一回り大きい。
●コクチョウ (Black Swan) L120〜130p W200p
(撮影地〜長浜城)
<概要>
見たとおり黒いのでブラックスワン、コクチョウ(黒鳥)との名がつくがハクチョウの仲間。オーストラリア、ニュージ
ーランドに生息。オーストラリア内陸部の乾燥地帯を除く全土に生息している。オオハクチョウやむコハクチョウなど
によに渡りは行わず、季節や環境の変化により国内移動する漂鳥で、オーストラリア唯一の固有のハクチョウ属。
<生態>
本来、日本には生息しないが、茨城県水戸市・水戸偕楽園、滋賀県長浜市・長浜城、新潟県水原町・瓢湖などの
全国の公園で飼われてている飼い鳥で野鳥ではない。
くちばしは赤く、先端付近に白色の斑点がある。虹彩は赤色。羽毛は全体が黒色だが、初列風切羽から二列風切
羽の外側にかけてが白色。
幼鳥は羽毛は白色でくちばしは黒色、成長するにつれて羽毛が黒くなり、くちばしは赤褐色から赤色へと変わってい
く。食性は草食性で、主に水草を食べる。また、水辺に近い場所や陸上でも、採食することがある。
繁殖期は場所によるが4月から9月。つがいは一生の間、継続する。コクチョウは湖の浅瀬や島に草を積み上げた
直径約1.5mの巣作る。
普通、毎年同じ巣を利用し、必要があれば修復したり立て直す。通常、4-6個を産卵し、雌雄ともに抱卵する。オス
とメスは共に巣を守り、一旦ひなが飛べるまでに育つと、家族でえさを探す姿が良く見られるようになる。
乾燥期に湖沼の水が少なくなると水を求め、数百羽の群れになり移動を行う。夜間飛翔することが多い。
<声>
「フォー、フォー」
<見分方法>
コハクチョウ程度の大きさであるが、羽根が黒いので見間違えるみとはない。但し、国内に野生種は存在しない。