より転載 263鳥ニ263ュ−ス No.263

野鳥ニュ−ス No.263

2000.04.19


静内がガン類の越冬地として定着−道内唯一で国内最北に

北海道新聞  2000.04.19(WEB)

 【静内】日高管内静内町内の牧場などが、国の天然記念物の渡り鳥・マガンなどガン類の新たな越冬地となっていることが十八日までに、地元野鳥研究者の調査で分かった。今冬までに五季連続で同町内で冬を過ごしているためで、野鳥専門家も「地球温暖化によるものでは」と分析。これまで国内最北の越冬地とされていた宮城県・伊豆沼から、四百キロも北上したことになる。

 調査したのは研究を続けているのは「日本雁(がん)を保護する会」会員で、同町職員の谷岡隆さん(52)。谷岡さんは一九九五年末から九六年春にかけて、同町内の牧草地などでマガン約四十羽が越冬したのを初めて確認し、九六、九七、九八年の冬も三十―五十羽が越冬地として過ごしたことを観察している。 

 今冬は日高地方が例年にない大雪に見舞われたため、エサの確保が心配された。しかし、九九年十二月下旬から二○○○年三月下旬までにマガン六十三羽、シジュウカラガン四羽、ハクガン一羽の計六十八羽が越冬した。

 山階鳥類研究所(千葉県)は「ガン類は土地に対する執着が強く、静内町は越冬地として定着している。近年、地球温暖化の影響でガン類の越冬地が北へ移動しつつあるという研究もあり、それを裏付けることになる」としている。

 谷岡さんは「静内町は川が凍結しない上、積雪が少なく牧草などを採食しやすいことが大きいのではないか。今後もガン類が安心して越冬できる環境づくりに力を尽くしたい」と話している。


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