INTRODUCTION    
           
        
     



     19
95年より
     マガン、ヒシクイ、オオヒシクイ、シジュウカラガン、ヒメシジ
     ュウカラガン、ハクガンなどのガン類が地球温暖化現象を主とする
     要因により、北海道新ひだか町静内で越冬するようになりました。

     しかし、一部の心無いバードウォッチャーたちが、
     趣味という名の元に群れに接近し写真を撮る、犬を放すなど、
     時が経つにつれモラルとマナーが低下、
     残念ながら幾つかの問題が発生するようになりました。

     静内は全国的に名高い競走馬の生産地です。
     一頭が数千万円、数億円の名馬も珍しくはなく、
     中には43億円の値がつくサラブレッドも存在します。
     その競走馬たちと一緒に牧場で採食するのがマガンです。
               
     繊細で神経質、臆病な競走馬が、
     人が近づいたり、シャッター音などが原因で
     暴走し、骨折や死亡事故が発生した場合、
     誰が謝罪し、高額の賠償金を支払い、補償するのでしょうか。

     事実、私が観察中、何かの音が原因で競走馬が柵を乗り越え、
     牧場内を暴走するといった例が何度か発生してます。
     幸い、事故には至ってはおりませんが、このような事がいつ、
     どこで起きるかも分かりません。

     また、牧場主が一番恐れているのが、感染症。
     来訪者によるウイルス及び家畜性伝染病の感染。
     数年前にもある菌が日高で流行し頭を悩ませたばかりであり、
     2001年全国で、そして2010年、宮崎県で発生した口蹄疫
     (ウイルス)が世界中を震撼させ、多くの家畜が殺処分された
     ことは、まだ、記憶に新しいところです。
  
     国内最大競走馬の生産基地として、生計の糧としている馬産地では
     通常、観光を目的としている一部の牧場を除き、
     防疫上の問題から見学を一切禁止しているのが現状です。
     単純に観察といっても、牧場ではけして歓迎はせず、
     業務以外、外部の来訪は迷惑であるというのが実情。
  
     結果、22シーズンを迎え、現在も越冬継続中のガンたちですが、
     カメラマン、犬を放す等、一部の者が不用意に群れに近づくなどの
     行為を繰り返したため、仕方なく採食場所を移動せざるを得ず、 
     現在では、1〜2シーズン目に越冬した採食場所には
     殆んど姿を現さなくなるなど、年々、採食場所を変えざるを得なく
     てなっています。
  
     静内が、本州や他の越冬地、寄留地と決定的に異なるのは、
     まだ、北海道での越冬経験が少なく、毎年、群れが試行錯誤しながら
     越冬を続けていることで、従って群数も僅かに150羽前後程度の希少
     であるということです。

     歴史、経験も浅く、個体数が少ないが故に、
     天敵や人間から身を守るためのリスクも大きく、
     結果、警戒心が強く、臆病になり、
     人の姿を見ただけでも、飛び上がってしまうという事象に繋がり、
     満足な採食行動すら不可能となります。

     渡来数が増え、群れの行動も落ち着き、
     安心して越冬できる環境と、越冬行動が定着するまで、
     そっとして欲しいというのが切実な願いなのです。
                 
     しかし、情報やデータの独り占めは好ましいことではなく、
     ガン越冬地で暮らし、保護活動を続ける者として、
     
  多くの方にその実態を正しく認識いただくことと普及啓発のため、
     許容範囲内での情報公開が保護活動につながるとの結論に達し、
     「最北のマガン越冬地・静内」を立ち上げ、この19シーズン、毎日更新し
     現在に至っております。
               
     厳しい自然環境の北海道で、
       なぜ、ガンたちが越冬するようになつたのか。
       
如何なる経緯でマガンが天然記念物に指定され、他のガンたちもが、
     レッド・データブックにリストアップされているのか。
     一見、のどかで、何気ない新ひだか町静内、そして新冠町などでの越冬がど
     のような意味合いを持つのか。
   
     このサイトをご覧いただき、
     新天地、北海道で越冬するパイオニア、先駆者的存在の勇気あるガンたちの
     現状、生態、越冬環境、動向、課題・問題等を同じ視点で捕らえ、
     今後の保護活動にご理解、ご協力をいただけるのであれば、幸いです。
       

             

     
追 記

     近年、報道関係の方との見解の相違が目立ち、迷惑することが増えている。

     特に、テレビ局の中でも報道セクションとは相性が悪く?“報道の自由”の
     大儀?の下、ご他聞にもれず共通する強引さ無節操、驕り(おごり)以外の
     何物でもない偏った自己主張。そして、典型的な特権意識。

     少なくても相手に嫌がることまでをさせ、誰に何を伝えたいのか。
     報道人共通、特有の一般常識の希薄さと勘違い。
     欠落するモラル、マナー、ルール、常識、自制心、良心。
     相手の立場、人権、更に牧場経営者の生活権は?。
    
     そして、COP3、1997年、地球温暖化防止京都会議・ワークショップで、
     わが国で「地球温暖化現象が国内の野生動物に与えた唯一の例」として
     全世界へと発信された、静内発、マガンの貴重な越冬データを途絶えさせる
     ことまでをして、その報道が値することなのかを…。
   

     真の報道とは、一体何なのか。
     国指定天然記念物・保護の報道ポジョニングは…。
     答えは明白である。

     

             
             
  ※観察記録、データの利用に当たっては以下のことを
                 遵守願います。
               
                ●各データを論文や書籍に引用する場合は、必ず出典
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        日高鳥類研究所 所長 北海道日高郡新ひだか町静内中野町2丁目6番38号                        谷 岡   隆