越冬7シーズン観察データ〜2
鵡川観察編/2001.12.25〜2002.02.14
ここ数年、静内のマガン越冬群れがウトナイ湖
や鵡川町での行動と密接な関係をもつことを裏付けるデータが増えてきましたが、
7シーズン目にしてマガン群れが10羽という少ない個体数ながら初めて越冬をし
ました。
今後、さらに群れ数が増加しての越冬ということも十分可能性があり、その動向
に目が離せなくなってきています。データ的には希少ではありますが、その一部を
ご紹介します。
*はじめに
越冬は採食とねぐらが確保出来なければ可能とならないが、ここ数年、鵡川町水田地帯
は渡り移動 時期に春、秋のそれぞれに中継地としているだけでなく、越冬中にもマガンが
静内町と鵡川町間を往来するなど、密接な関係があり、特に近年は、その傾向が顕著に
表れている。
そのような中、今シーズン、初めて鵡川町で群れ構成が成鳥3羽・幼鳥7羽からなるマガ
ン10羽が越冬した。いつかはこのような状況になるのだろうと推測していたが、以外に早い
シーズンにそのようなこととなった。昨シーズン、苫小牧市ウトナイ湖や千歳市長都沼でもマ
ガンが越冬したように、静内町以外の場所でもマガンが少数ながら越冬する個体、ケースが
増加しており興味深いが、この鵡川町での事象についても、来シーズン以降も継続するのか
非常に興味がある。
*越冬数・期間
●群数10羽(マガン10羽)
○成鳥・幼鳥構成〜成鳥3羽・幼鳥7羽
○平成13年12月 2日〜平成13年12月 5日【4日間】
*ねぐら
採食地側の鵡川町鵡川で、静内川中流域の中州と同様な形態をした場所が有り、適当
地がある。
*採食地
●平成13年12月25日〜平成14年2月14日〜鵡川町宮戸(水田)
*採食行動
静内町での採食群れ行動と同様に群れがいつも一緒に採食行動をとった。
*観察記録
●平成13年12月25日(火) 10羽
10:00〜鵡川町宮戸で水田で採食するマガン10羽を発見。
12:10〜この時間まで、宮戸で水田で採食するマガン10
羽を確認。
●12月27日(火) 10羽
10羽を前回と同じ場所で確認。
●平成14年1月4日(日) 快晴 10羽
15:35〜いつもの水田で採食を続ける群れを発見。
16:46〜ねぐらとなる鵡川中流域へ飛び立つ。
●1月26日(土) 晴れ 10羽(A3羽・J7羽)
鵡川町で10羽のマガンを確認する。場所は前年確認した
場所と同じ所で、水田地帯である。不思議で興味深いのは、
食物の相違で、静内町では越冬期間採食物は牧場の牧草
であるのに比較し、鵡川町の群れは12月の発見時から一貫
して水田での落穂、籾わらに限定されていることで、 同じ北
海道でありながら越冬地域が違うと採食する物まで変わって
しまうということになる。
14:50〜鵡川河口域付近を探索するも姿は見えず。
15:10〜鵡川沿い、A牧場付近の水田で採食を続けている
群れを発見。いつものように見通しがきき、開けた
場所で、ここならと思われる要素はあるものの、道
路近くで、民家も沢山有ったりの、こんなところでと
いう場所である。マガンはなぜ、こんなに人里近く
が好きなのだろうか。
15:25〜水田内を歩きながら移動し採食する。結構、警戒
心が強く犬の鳴き声、トラクターのエンジン音など、
何かの物音には直ぐに反応するなど、リーダーが
ひまなしに首を上げて周囲を警戒している。
16:20〜ねぐらに利用していると思われる鵡川を見てみるが、
一部分は溶けているものの殆どが結氷している。し
かし、右岸に静内川と同じような堆積地があり、ね
ぐらとして使用するには適当な場所があることから、
おそらくここをねぐらとして使用しているのは間違い
ないと思われる。ともあれ、このまま無事に一羽も
欠けることなく、越冬して欲しいと願う。
●2月14日(木) 晴れ 10羽(A3羽・J7羽)
11:25〜宮戸地区の水田で採食中の群れを確認。水田及び
畦で採食。盛んにガッガッガッと鳴く。
12:00〜巡回のため、現場を離れるがその後、群れは確認
できず。
15:00〜午前中の群れは確認できず。鵡川の堤防上で調査
を行うが群れを確認できず。思ったよりこの時期、ま
だマガンが渡ってきた数は少ないのか。
※この日以降も、何度かこの群れが鵡川町で確認されています。