今シーズンの特徴




 
2月12日、沙流川河口域を飛翔するマガン


<2014年12月>

ここ数年の傾向としてウトナイ湖での越冬終了日は年々早まり2012129日、20131218日、
そして20シーズン目は2014126日となった。
 今シーズン12月は、降雪量はさほど多くはなか
ったが気温が低くウトナイ湖から姿を消す直前の125日最低気温-8.6℃、126日は-10.6℃で結
局、苫小牧市12月の最低気温となった。

この結果、12 5 日、マガン 400±羽(ハクガンJ1羽、コクガン1羽)がウトナイ湖道の駅前湖
面で一塊となるのが確認され写真撮影にも納められたが、126日、積雪量13pの大雪、湖面も6
結氷となり。12 7日以降、ウトナイ湖からマガン(ハクガン、コクガン) は姿を消し越冬を終了
させた。


 早速ねぐら調査が1213日と16日行われたが発見できず、暮れの12266:25、ウトナイ湖南端
(勇払川流出部)からマガン100羽以上のねぐらを立ち、川沿いに下流側へと飛び去るのを確認した。

 1226日午後、鵡川河口域から太平洋沿岸へと出入りするマガン151羽を数回にわたり初めて確認、
また、沙流川河口域にも今季は生息が確認されていないのでねぐらについてはウトナイ湖と思われる。

 
 さらに採食地は、鵡川河口域となるむかわ町駒場154番地のトウモロコシ畑で連日確認されたが、
何度も太平洋岸へと飛来、苫小牧市方向へと移動するのが分かったので採食場所を鵡川河口域ともう
一つの場所の複数個所により越冬していることが分かった。  

 12月は、発達した低気圧の影響、爆弾低気圧の通過により全道的に悪天候の日が多かったが、胆振・
日高地方気温は下がったものの降雪量は少なく寒い日が続いた。


 なお、越冬個体数はむかわ町での飛翔写真からマガン151羽を確認したが、12月中、日高地方では
一度も確認できず。今季も採食活動、ねぐらについては大きな天候異変がない限り胆振地方での越冬
が続くものと予測される。



<2015年1月>

 基本的に採食地ベースとなったのはむかわ町若草15番地トウモロコシ畑周辺で年前から15日迄
確認されていたが、16日、発達した低気圧の接近で暴風雪となり積雪量も多くなった結果、採食
事情が大きく変化、9日、むかわ町汐見地区に移動したが、10日には採食場所がまた不明となり、
夕方、むかわ町汐見地区方向からウトナイ湖へねぐら入りのため飛来するのを鵡川河口域海岸で確
認した。

 
 しかし、17日、再び発達した低気圧の接近で新千歳空港も閉鎖される降雪量となり鵡川河口域も
20pの積雪となり群れの半数が沙流川河口域(日高町富浜)に移動、
82羽を確認した。

 21日、日高町富浜地区に82羽、新冠町大狩部に69羽と2つの群れに分散して採食するのを確認。
これは、むかわ町は積雪が多く採食環境が悪化したことにより、積雪量は殆どなく採食環境に恵ま
れた沙流川河口域、新冠町大狩部に移動したものである。


 直線距離で20Km、過去にこれだけの距離を離れて分散し採食したことはなく、今シーズンの大き
な出来事の一つである。
124日、新冠町大狩部で採食中の群69羽は新冠川中流域にねぐらを取っ
たが、
25日には沙流川河口域で全羽が合流151羽を確認、26日まで確認したが27日以降、再び行方
不明となった。


 この間、一貫してねぐらはウトナイ湖で変わらず、採食地だけが降雪よる採食環境悪化に伴いむ
かわ町、沙流川河口域、新冠町大狩部と次々と変化した。基本的に昨シーズン以降、ねぐらをウト
ナイ湖にとっているのは安全性の高い環境として選択したことに加え、少しでも緯度の高い地域に
生息したいというマガンの北方志向の高さとも思える。



<2015年2月>

 行動がアクティブになる2月は、降雪量が少なく好天が続き積雪量も少なくどこでも採食可能と
なったため群れ採食地を転々とし中々わからなかった。しかし、中旬になり発達した低気圧の接近
によりまとまった降雪以降、積雪量の少ない日高町の沙流川河口域の牧草地及び富川西地区のトウ
モロコシ畑に求め採食した。また、群れ個体数も11日には58羽とするなど複数群れでの行動もあっ
た。

 今シーズンのねぐらは、昨シーズンより一貫してウトナイ湖勇払川河口域であったが、210
11日、ウトナイ湖美々川河口部から飛び立ち湖上を南へ向かうマガンを確認、勇払川河口域からね
ぐらをなぜか移動させた。

 しかし、218日早朝、ウトナイ湖からのねぐら立ちで500羽以上の個体数を確認。この時点で17
日には本州からの移動組が北海道越冬組と合流しており、今シーズン越冬観察はあえなく終了とな
った。